「聖剣伝説2 another」 第23話 〜異世界の剣〜 <戦いから4日後・アムール3世の家> ランディ「そうですか…光る剣のことも異世界のことも、      これといった手がかりは…」 アムール3世「すまんのぅ…力になれんで」 ランディ「いえ、僕らの方こそ。      この国を戦いに巻き込んでしまって      申し訳ありませんでした」 ペコリ アムール3世「いやいや、そんなことは良いんじゃ。        そうじゃ、地球という世界に行く方法は        わからなかったんじゃがの…」 ガシャン アムール3世「どこか別の世界から持ち込まれた物が        実はカッカラにも 1つあったのが、        古い記録からわかったんじゃ」 名由多「持ち込まれた物…?」 アムール3世「うむ。代々王家に伝わる家宝なんじゃがの。        まさかこれがそうだったとは わしも知らなんだ」 ファサッ 程塚「…!!これは…!?」 遊太「ま、マジっすか!?」 王が布を取ると、現れたのは 柄に赤い宝玉が埋めこまれ、 握りと刃の部分に 特徴的な同じ装飾が施された幅広の剣。 程塚・遊太「破邪の剣!!?」 姫花「ちょ、何いってんのアンタ達?」 ポポイ「遊太たち知ってんのか この剣?」 遊太「いや知ってるも何も 小学生男子なら常識でしょ!?」 名由多「僕も知ってる…!ドラゴンクエストだよね?」 程塚「…っていうゲームが 俺らの世界にあって。    そのゲームに出てくる、強力な武器なんだよ」 プリム「何であんた達の世界の ゲームの中にある剣が     こんなとこにあんの…!?」 ランディ「……別の世界から持ち込まれた剣…つまり…」 遊太「せ、聖剣2の世界だけじゃなくって…    ドラクエの世界も 実際にあるってことかよおおお!!?」 姫花「ちょちょっと遊太、なに泣いてんの!?」 アムール3世「…異世界の屈強な戦士が 遠い昔、        カッカラを訪れた際に 置いていった剣。        わしには それしかわからんが…        程塚くんといったか?        先日の戦いで 武器を折られたそうじゃな」 程塚「あ…そうですけど」 アムール3世「良ければこの剣 持っていってくれんか」 程塚「!!い、いいんですか!?」 姫花「か、家宝なんですよね!?そんな簡単に渡しちゃって…!」 アムール3世「気にせんでくれ。        この国を救ってくれたランディ殿に        まだわしらは 何の礼もしておらん」 ランディ「そんなことは…」 アムール3世「それに…君達が 異世界から来たと聞いて、        この剣は君らが持っていた方がいいような気がしたんじゃ。        君らが故郷に戻る ヒントになるかもしれんからの」 程塚「王様…!ありがとうございます!!」 名由多「うわぁ〜 いいなあ程塚君!     ドラクエの剣が使えるなんて!」 遊太「こんな経験できる小学生、    世界で程塚さんだけかもしれませんよ!?」 程塚「いやそりゃ 他にいたらビックリだけどな…」 姫花「アンタ達、盛り上がりすぎ…;;」 名由多「和樹君にも見せてあげようよ!     ドラクエ好きだったよね、和樹君も!」 ポポイ「そういや メガネ君の怪我、大丈夫なんかな?」 遊太「いや〜そりゃもう ちなみちゃんの愛のこもった看病で    すっかり回復してるでしょ!」 プリム「あ、愛って アンタねぇ…」 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜 <タスマニカ共和国・救護室> ちなみ「カズくん、お待たせ〜 今日のお昼だよ!」 カチャカチャ 和樹「ち、ちなみちゃん…もう食堂まで 食べに行けるから」 ちなみ「もうっ、またそんなこと言って…     ダメだよ、そんな無理したら!」 和樹「ちなみちゃんのおかげで もうすっかり元気だからさ」 ちなみ「カズくん!カズくんは怪我人でしょ?     お医者さんの言うことは ちゃんと聞くの!」 和樹「は、はい…」 和樹(ちなみちゃん、まだ看護師『志望』でしょ…    とは、言えないよなあ…    すっごく親身になって 世話してくれてるし…) ちなみ「じゃあ、え、えっと…///     ははははいっ!あ、あーん…///」 和樹「……!!ち、ちなみちゃん…    もう腕も動くし、一人で食べられるから…」 ちなみ「ダーメ!治りかけが 一番危ないんだよ?     ランディ達が帰ってくるまでは 安静にして!」 和樹(いや、安静と『あーん』は    関係ないと思うんだけど…) ちなみ「…ほ、ほら…早く食べないと冷めちゃうよ?     はい……あーん…!!」 和樹「……あ……あーん…///」 パクッ 遊太「いや〜もうちょっと    カッカラにいた方が良かったっすか?w」 和樹「!?ゆ、遊太!?いつからそこにっ…」 ちなみ「!!や、ややややだっ…///」 姫花「か〜ず〜き〜??    あたし達が 大変な目に遭ってる間に、    随分楽しいことしてたのねえ??」 和樹「ひひひ姫花ちゃん!?    いやあのそのあのっ、ここここれはっ…!!」 ちなみ「ちち違うの姫ちゃん!!     これはあの、カズくんがまだ腕とか動かせないから…!」 姫花「へぇ〜、今思いっきり 腕ブンブン振ってたけどぉ??」 ちなみ「!!あ、あのえっと…!!」 プリム「はいはい、痴情のもつれは その辺にしといてね〜」 和樹「ち、ちちちじょうのもつれ…!?」 名由多「和樹君、あのね!     カッカラ王国で グレート?何とかチーム??     って人達と 戦いになったんだ」 ちなみ「!!覆面の人達と…!!」 ランディ「うん。その話もあるし      アムール3世に聞いた話も説明したいんだけど、      ジェマにも一緒に話したいから。      今呼んでくるから 少し待っててくれる?」 ちなみ「あ、じゃあ…わ、私呼んでくる!」 タッタッタッ 遊太「程塚さぁ〜ん、ヤバいっすよ?    あの2人一気に 急接近って感じっすよ!?」 程塚「……ちょっと破邪の剣の 試し斬りしていいか?」 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜 和樹「すごい…ま、マジで破邪の剣だっ!!」 目を輝せて、程塚の剣を食い入るように見つめる和樹。 名由多「ね、ね、すごいよね!?     攻略本 そのまんま!!」 程塚「お前、一応病人なんだからな…あんま興奮すんなよ?」 和樹「ほ、程塚…早くそれ使ってるとこ 見せてくれよ!!」 程塚「いやだから落ち着けって!?」 ジェマ「我々の世界に、和樹くん達の世界…     そして その剣の持ち主がいた世界、か…」 ちなみ「トリュフォーさんの言ってた、     『勇者と魔王が戦う世界』っていうのも     その世界のことなのかなあ…?」 遊太「きっとそうっすよ!    ドラクエといえば、勇者と魔王っすからね!」 ポポイ「ジェマのおっちゃんの方は 何かわかったのか?」 ジェマ「…うむ。これを見てくれ」 そう言うとジェマは ボロボロに古ぼけた、一冊の本を広げる。 名由多「!?これ…ブライトソード!?」 ランディ「これは古代文字…?      ジェマ、何て書いてあるんだ?」 ジェマ「全ては解読できていない。     『使い手の心次第で 善にも悪にも染まる剣。      選ばれし者のみが振るう 人智を越えし力秘めし剣。      世界に5本散らばる剣。1本は宇宙の海に、1本は…』     読めたのはここまでだ」 名由多「選ばれし者…僕が!?」 程塚「善にも悪にも染まる…やっぱ スターウォーズだな…」 プリム「もしかして帝国も これと同じ情報をどこかで得て     宇宙の海に探しに来た…ってこと?」 ジェマ「おそらくそうだろう。     そしてその力を 世界征服に利用しようとした…と」 程塚「それはわかったけどさ…何であのキラーグレスとかいう奴が    3本目を持ってたんだろうな」 和樹「そうだ、そのキラーグレスって奴…    今までのどんな敵より 強そうだよね」 ランディ「ああ…もし次に会ったら 勝てるかわからない」 名由多「今回も僕の 騙しうちみたいな感じだったし…」 ジェマ「お前達、『勇気の試練』は受けたのか?」 ランディ「うん、ジェマ。      いま僕も そのことを考えてたんだ」 和樹「あっ 賢者ジャッハ様の試練ですね!?」 プリム「ああ…そういえば 何かいろいろあり過ぎて     後回しになっちゃってたわよね」 ランディ「うん。情けない話だけど、      僕は今のままで 戦い抜いていく自信がない。      これ以上みんなを 危険な目に遭わせないためにも、      レベルアップが必要だと思ってる」 姫花「ランディ…」 ポポイ「さっすがあんちゃん!カッコいーぜ!」 程塚「その試練ってさ…俺達も受けれんのかな」 プリム「えっ アンタ達も?」 姫花「あたしもそれ思ってた。    ランディ達ばっかりに 頼ってるわけにいかないよ」 遊太「俺らの必殺技も あいつには通じなかったしな〜!」 ちなみ「覆面の人達も 帝国も、止められるようになりたい…!」 和樹「うん。悪い奴らやっつけて    地球に帰るまで、負けるわけにいかないよね」 名由多「僕も、リリィちゃ……     み、みんなを守れるくらい 強くなりたい!」 ランディ「うん、わかった。      じゃあジャッハ様に頼んでみよう」 ポポイ「おーし、んじゃ次の目的地は マンテン山脈で決まりだな!」                      (続く)