「聖剣伝説2 another」 第21話 〜砂塵の決闘〜 <カッカラ王国> アムール3世の家から出た一行の目に映ったのは、 紫色のローブを着た 例の覆面達だった。 程塚「またあいつらか…!」 遊太「しかも また違う色のローブだぜ!?」 ミシミシッ… 紫色の男A「聖剣の勇者達が来ているはずだ。居場所を言え」 男性A「し…知らないよ…     たとえ知ってたって 言うもんか…」 男性B「そうだそうだ!この国を救ってくださった勇者様を、     得体の知れない連中に     売り渡すような真似 出来るもんか!」 紫色の男B「お前はどうだ?女」 女性「し、知りません!見てもいません、本当です!」 ズバァッ 女性「あうっ!?」 姫花「お、女の人にまで…!!」 ポポイ「にゃろう、好き勝手やりやがって〜!!」 ダダダダッ ランディはわき目も振らず、 覆面の男達に駆け寄って 斬りかかる! ランディ「はあっ!」 ズバッ ズバッ! 紫色の男A「うぐっ!?」 紫色の男B「ぐあっ…!」 男性B「ゆ、勇者様…!」 ランディ「皆さん、ここは危ない!家の中に避難を!」 ???「フン、ようやくおでましか」 覆面達の後ろから進み出たのは、また別のローブを着た男。 その全身には 鎖のような模様が 絡みつくようにビッシリと描かれていた。 鎖模様の男「お前達がこの国に入っていくのを部下が見つけて       急ぎ駆けつけてみたはいいが…       グルーロード達の報告とは 人数が違うようだが?」 ランディ「それを知りたければ、      僕達にも教えてもらおうか。お前達の目的を!      なぜ僕らの命を狙う!?」 鎖模様の男「…フン。なんだその物言いは。       キサマ、俺と対等にでも なったつもりか?」 ヒュッ ランディ「!!(一瞬で背後に…!)」 ビシュウウン ガキィン! 姫花「!?あ、あれって!?」 程塚「名由多君と同じ剣…!」 ランディに斬りかかった男の手に握られていたのは 確かに 名由多の物と同じ光の剣… 唯一の違いは、その真紅の輝きだった。 フォン キィン! 鎖模様の男「お前の前にいるのは、       グレートデスデッドチームのナンバー2。       悪族の長・キラーグレスだぞ?       グルーロードにすら 太刀打ちできないお前が       相手になるとでも思っているのか?」 ランディ「くっ…!」 姫花「ランディ、押されてる…!」 プリム「ティンクルバリア!」 ピィーーン キラーグレス「…フン」 フォン ガキンガキン バキン!パラパラッ… プリムが ランディの周りに張った光のバリアは 赤い光の剣で あっという間に叩き割られる。 プリム「う…うそっ!?」 キラーグレス「何だ今の技は。時間稼ぎにすらならんぞ?」 フォン キンキンッ ドゴォッ! ランディ「!?がはっ…!?」 斬り合いの最中、 キラーグレスが不意に放った蹴りが 腹部にクリーンヒット! ランディは血ヘドを吐きながら 民家の壁に叩きつけられた… ドサッ ランディ「ゲホッ…!」 ポポイ「あ、あんちゃん!!」 キラーグレス「フン、三流勇者は そこで寝ていろ。        それよりまずは…お前達だ」 クルッ 遊太「……あ、えーっと?何かご用で?」 キラーグレス「グルーロードやウォーズラーを、        お前らがやった報告は受けている。        連中が甘いだけだとは思うが…        一応、先に潰させてもらうぞ」 ザッ ザッ 程塚(……!!    プリム、ポポイ、姫花ちゃん!遠距離からかく乱してくれ、    その隙に俺と遊太が接近して 必殺技を入れる!) プリム(わかったわ…気をつけるのよ!) ポポイ「フリーズ!」 プリム「セイントビーム!」 ヒュオオッ バシュッ ガキンガキン! 2人の魔法をあっけなく剣で弾き、姫花達に近寄ってくるキラーグレス。 ポポイ「ならこいつでどうだ!エアブラスト!」 ビュウウッ ゴオオオオッ! ポポイが放った風の魔法で、 キラーグレスの周りに 猛烈な砂嵐が巻き起こる! キラーグレス「…フン、目くらましか。幼稚な手だ」 姫花(…今だ!!) タタタッ 姫花「エンジェルバスタール!!」 砂嵐に乗じて キラーグレスの側面に回り込んだ姫花は 鞭を勢いよく回転させ、極太のビームを発射する! ゴオオオオオッ!! 姫花(……や、やった!?) ザッ キラーグレス「…それで不意を突いたつもりか?」 姫花「!!?」 砂嵐が止んだ場所に 既にキラーグレスの姿はなく、 代わりに 姫花の背後に立っていた。 プリム(い、いつの間に あんな位置に…!?) しかしキラーグレスが斬りかかるよりも先に、 すかさず距離を詰めた程塚と遊太が 攻撃を仕掛ける! 程塚「セントボルトクラッシュ!!」 遊太「槍センボン!!」 バチバチッ ズバアアアアッ! フォン シュッ! 程塚「な、なにっ!?」 バギィッ! 程塚が電流を纏わせて放った斬撃に  キラーグレスが 躊躇なく光の剣を差し込んだ途端、 木刀は電流ごと 真っ二つに折れてしまった! 遊太「おりゃおりゃああ!!」 ズガガガガッ! キンッ キンッ ギギギギギギンッ!! 遊太「!!?」 遊太が放つ無数の突きを、 キラーグレスの剣は 一つ残らず受け止めていく! 姫花「ウソ…でしょ…!?」 フォン クルン ガキィィン!! キラーグレスが最後に剣を一回転させ、横になぎ払うと 遊太の槍は 遥か遠くへ弾き飛ばされる! 遊太「……!!」 キラーグレス「…これで終わりか?」 ドサドサッ ドサッ 遊太(必殺技が…全っ然通用しねえ…!!) 程塚(パワーもスピードもテクニックも まるで桁違いだ…    くそっ、ナンバー2は自称じゃねえってことかよ…!!?) キラーグレス「フン。一度で全精力を使い果たす技と聞いていたから        どれ程のものかと思えば…        案の定、連中が実力不足だっただけか」 程塚「……」 キラーグレス「…さて。じゃあ死ね」 武器を折られ、体力も使い切った程塚に向け、 キラーグレスは剣を振りかぶる。 プリム「ほ、程塚!!」 ポポイ「マジメ君っ!!」 ???「二つ 雷妖弾 人呼んで光弾技」 キラーグレス「!?」 バシュバシュッ ガキンガキン! 背後から飛んできた青い光弾を キラーグレスは咄嗟に受け止める。 リッキー「すまない。遅くなった」 バサッ バサッ 姫花「リ……リッキー!!」 遊太「リクルートさぁぁぁん!!」 程塚「……ナイスタイミング…!」 キラーグレス「グルーロードが遅れを取ったという、        青髪の剣士か。所詮、お前も…」 バッ ビュオオオッ キィィン!! キラーグレス「!!」 ペガサスから飛び降りざまに、 リッキーが放った斬撃を受け止めたキラーグレスの身体は 大きく後方へ飛ばされるが、すぐに体勢を立て直す! キラーグレス「…フン。少しは骨のある奴が出てきたか」 リッキー「…見くびるな」 キンキンッ フォン ビュオオオッ ガキンガキン!! 姫花(リ、リッキーすごい…) 遊太(あんなすげー敵と まともに渡り合ってるよ!?) 程塚(速い…!目で追うのがやっとだ…!) プリム(と、とても入っていけない…) キラーグレス「キサマ、何者だ?        俺達に楯ついても 得にはならんぞ」 リッキー「…それは私が決めるッ…!」 キィィン! 一際強烈な斬撃を受け、またキラーグレスは弾き飛ばされる。 リッキー「三つ マッハスライサー 人呼んで…」 キラーグレス「……」 姫花「!!リ、リッキー後ろ!!」 リッキー「何っ!?」 突如、リッキーの背後に 鋭くとがった大量の宝石が現れ、一斉に襲いかかる! リッキー「くっ!?」 キンッ キンキンッ ギギギギギンッ キラーグレス「死ねェ!!」 フォン ズバアアッ!! 無数の宝石を剣で受ける為、無防備になったリッキーの背中を キラーグレスが容赦なく一閃する! リッキー「ぐ…あああっ!!?」 ドゴォォォン! 背中から大量の血を流すリッキーの身体は、 勢いよく壁に叩きつけられた。 姫花「リ…リッキーーーー!!」 ポポイ「今のって…ダイヤミサイルかよ!?」 程塚「ま、魔法も使えたのか…!」 プリム「しかも直接 相手の背後に     あれだけ大量に出現させるなんて…     並の使いこなしじゃないわ!」 ガチャッ 店主「あ、あなた大丈夫ですか!?    肩を貸します、店の中へ…!」 ポポイ「!?サラダのおっちゃん!?」 程塚「そうか、あそこは『夜明けの三日月亭』…!」 遊太「あ、危ないっすよ出てきちゃ!」 キラーグレス「…虫ケラが。邪魔をするな」 キラーグレスが手を掲げると、 店主の頭上に、数発の宝石の弾丸が浮かび上がる。 リリィ「おじさぁん!!」 名由多「ま、待ってリリィちゃん!!」 トタトタトタッ 程塚「名由多君、リリィちゃん!?今までどこに…」 プリム「ダメっ、来ちゃ!!」 ズガガガァッ!! 全員「!!!」 ポタッ ポタッ… 店主「リ、リリィ…!!」 リリィ「えへへ……お、おじさん…だいじょぶ??」 辛うじて直撃は免れたものの、 店主をかばったリリィの足を 数発のミサイルが斬り裂いていた。 姫花「リリィちゃん…!!」 ランディ「く、くそおっ…ぼ、僕が…相手、だっ…!」 ポポイ「あんちゃん、動けんのかよ!?」 ランディ「ゲホッ…僕がやらなきゃ…誰が…!!?」 ビシュウウン ダダダダッ ギィン! にわかに凄まじい形相になった名由多は、 青く輝く剣で キラーグレスに挑みかかる。 キラーグレス「…!!ブライトソードだと…!?」 名由多「リリィちゃんに…ケガさせたな!!?」 フォン キィン! キラーグレス「お前のことは 報告に入っていなかったな。        その剣、どこで手に入れた?」 名由多「うるさい…うるさいうるさい!     よくもリリィちゃんを、リリィちゃんを!!」 ランディ「ム、ムチャだ名由多君!!」 プリム「あっ…でも…」 キンキン ギィン! 程塚「戦えてる…あの規格外の 化け物相手に!?」 姫花「名由多君って…あんな強かったの?」 遊太「でもマズいっすよ、怒りで我を忘れてるんじゃ…!?」 ガキィンッ! ギリギリギリッ… キラーグレス「フン、少しはやるようだが…        俺に喧嘩を売るには 100年早いわ」 名由多「……」 つばぜり合いの体勢になり、一歩も退かず押し合う2人。 が、その時… スッ ビシュウウン グサァッ!! ランディ「!!」 プリム「え、えっ!?」 キラーグレス「!?な……んだとッ…!!?」 名由多は片手で 素早くポケットからもう一本の筒を取り出し 至近距離から 緑の光刃を出現させた。 予想外の攻撃に、キラーグレスの身体は刺し貫かれた! キラーグレス「ぐううッ!!」 ズルズルズルッ! グラアッ 力任せに 光刃を身体から引き抜いたキラーグレスだが 大量の血を流しながら、大きくよろめく。 遊太(剣一本しか使ってなかったのは、    我を忘れてたからじゃなかったのかよ!?) 程塚(あいつ…あれだけ怒ってんのに    戦いに関しては 冷静なのか…!?) ボタッ ボタボタッ キラーグレス「も……もう一本 隠し持っていただと!?        い、いや…それだけではない、        ブライトソードを 2本もどこで…!?」 名由多「……」 ダダダッ ダンッ! 名由多「メルトスパイラル!!」 ズバアッ シュルルルルルッ!! 名由多は 強い敵意のこもった視線で、睨みつけたかと思うと キラーグレスとすれ違いながら、力強く2本の刃を振り抜く! キラーグレス「ぐ、ぐはっ…!?な、なんだこれはっ…!?」 ドサァッ 紫色の男C「き、キラーグレス様!!」 名由多「……」 ランディ「な、名由多君…よせ、深追いは…!」 倒れて動かなくなったキラーグレスに、 名由多はなおも 攻撃を加えようとする。 リリィ「……ヨーくん…」 名由多「!!」 消え入りそうなほどの 小さな声が耳に入り、 名由多はハッとして 倒れた少女に顔を向ける。 リリィ「……ヨーくん…だいじょぶ、だよ…     リリィ……だいじょぶだから…」 名由多「……リリィ…ちゃん…」 フラァッ ドサッ ダダダダッ ガバッ 張りつめていた気持ちが切れたのか、 名由多はその場に倒れこむ。 そこへ 紫色のローブの手下達が駆け寄り、 キラーグレスを抱えて 走り去っていく… ランディ「……プリム、ポポイ…」 プリム「わかってるわよ。みんなを宿屋に運んでくから」 ポポイ「もうまともに動けんのは オイラ達だけだもんな!     ったく、みんなしょーがねーな!     オイラがいねーと 何も出来ねーんだからさ〜」 姫花「あははは…ありがとね…」                      (続く)