「聖剣伝説2 another」 第15話 〜想いが導く強さ〜 <マンダーラの宿屋・食堂> プリム「そっか……本当に大変な目に遭ったのね」 ランディ「2人とも怖かっただろうに、よく頑張ったよ」 和樹「あはっ、結局あのリッキーって人が    やっつけてくれるの見てただけですけどねw」 ちなみ「…今のお話きいて 私1個わかったかも」 程塚「なに?」 ちなみ「私達が、あの不思議な力を出せる条件」 全員「!!」 和樹「ホ、ホントちなみちゃん!?」 ちなみ「うん。多分ね…感情が高ぶった時に 出せるんじゃないかなあ」 和樹「感情?………あっ!」 ちなみ「そう。カズくんの1回目の時は、自分への悔しさ。     カズくんの2回目と、姫ちゃんの時は 守りたいっていう思い。     遊太君は、戦いの高揚感」 程塚「そして俺とちなみちゃんは…怒りか」 ちなみ「うん。そうやって 何かの感情が膨れあがった時、     あの不思議な技が使えるんだと思うの」 和樹「そっか…!俺が一度使えなくなってた時は    ウォーズラーにビビりっぱなしで    感情が高ぶるどころじゃなかったから…!」 プリム「なるほどね。何でそうなってるのかはわからないけど     これで一つ納得いったわね」 ポポイ「てかさー、かわい子ちゃん大丈夫か?     さっきからめちゃめちゃ元気ねーじゃん」 姫花「あ、ごめん……うん、大丈夫…」 遊太「無理言うなってポポイ。    マジで死ぬような目に遭ったんすよ?    そりゃ落ち込みますって」 ランディ「姫花ちゃん、今日はもう休んだ方がいいかもね」 姫花「……そうする。ありがとランディ。みんな、ごめんね…」 ガチャ パタン ランディ「みんなも、身体をゆっくり休めて。      光の神殿にもう一度行くのは 明日でも明後日でもいいからさ」 ポポイ「まーもうモンスターはぶっ倒したし、     すぐ行かなくても大丈夫そうだもんなー」 和樹「……あのさプリム。ちょっといい?」 プリム「ん…?別にいいけど」 スタスタ ガチャ パタン ランディ(…和樹君?) ちなみ「姫ちゃん、ほんと大丈夫かなあ…」 程塚「まあ、すぐには落ち着かねえだろうさ…」 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜 <その夜・宿屋のバルコニー> ランディ「姫花ちゃん?眠れないの?」 姫花「あっ ランディ……うん……」 ギシッ 姫花「昼間のこと……思い出しちゃって……」 ランディ「僕で良かったら、話きくよ?      吐き出せば 少しは楽になるかもしれないし」 姫花「……」 姫花は少し悩んだ様子だったが、おずおずと口を開く。 姫花「今日ね……あたしホントに ここで死んじゃうんだって思って    すごく怖くなったんだ。でもそれ以上に…」 ランディ「……和樹君?」 姫花「……うん。    目の前で和樹が死んじゃうかもしれないって考えたら    ものすごく怖かったの。    もう、頭の中ぐるぐるになって 何もわかんなくなっちゃうくらいに…」 ランディ「姫花ちゃん……」 姫花「…あたし ほんとダメな子だよね。弱い子だよね…!!」 グスッ ゴシゴシ ランディ「……もう戦わなくていいよって、言ってあげたいけど。      それは嫌なんだよね?」 姫花「うん……ちーちゃんだって    あのヘタレな和樹だって あんな頑張ってるのに    あたしだけそんなこと出来ないし…    それに、友達見捨てて逃げ出すなんて…!!」 ランディ「……」 クルッ ランディ「…姫花ちゃん。いいもの見せてあげようか」 姫花「…いいもの?」 ランディ「うん。こっちおいで」 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜 <宿屋の裏手> ランディ「気付かれないように、静かにね」 姫花「気付くって?……あっ!」 ガッ ガガガッ! 和樹「はあっ、はあっ…」 プリム「ほらほらどうしたのー!?     あんたから言い出したことでしょー、もうギブアップ!?」 和樹「まっ…まだっ…!」 姫花「和樹とプリム……!?」 ランディ「和樹君は みんなには内緒って言ってたみたいだけど。      プリムが僕にだけ こっそり教えてくれてね」 ドカッ ズガッ! 和樹「くっ…」 プリム「そんなんじゃウォーズラーにも     グルーロードにも勝てないわよ!?     今度こそ負けないんでしょ?守るんでしょ!?」 和樹「うっ……うんっ!!」 ランディ「格闘技の稽古つけて欲しいって プリムに頼んだみたいだよ。      今度こそ、姫………みんなを守りたいからって」 姫花「…和樹……」 ヒュッ バキッ! プリム「今のはいい蹴りね〜少しはサマになってきたんじゃない!?」 和樹「は…はいっ!」 ランディ「姫花ちゃん…      みんなに守ってもらえなんて 言うつもり無いけどさ。      姫花ちゃんは独りじゃないよ。      だから僕や、和樹君や、みんなを頼りながら      ちょっとずつ強くなっていけば それでいいんじゃないかな。      姫花ちゃんのペースでいいから。      和樹君だって そうしてるんだし」 姫花「……うん…!」 クルッ 姫花「…ランディ。今日あたしが言ってたこと、    ここで見てたこと…和樹に言わないでね?」 ランディ「わかってる。姫花ちゃんも      このこと誰にも言っちゃダメだよ?」 姫花「うん。ランディありがと。おやすみっ!」 タッタッタ ランディ「……姫花ちゃん。君は弱くなんかないよ。      とっても強くて、真っ直ぐで…優しい女の子だよ」 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜 <翌日・宿屋の寝室> チュンチュン 姫花「ほらぁ〜 いつまで寝・て・ん・の・よっ!!」 バサァッ 和樹「わわっ!?ひ、姫花ちゃん!?」 姫花「今日は光の神殿に行くんだからね!?    ほらほら、とっとと起きて    顔洗って、歯磨いて、ご飯食べるっ!!」 和樹「は、はいっ…!?」 ムクッ 程塚「…ったく、母親かっつーの…」 遊太「でもでも、元気になったみたいっすね姫花ちゃん!?」 ちなみ「うん、よかったぁ…!     昨日すごく辛そうな顔してたから…」 程塚「ちょっと急に変わり過ぎな気もするけどな…    何かあったのか?」 プリム「ふわ〜〜〜あ…     まあ、元気になったなら 何でもいいんじゃない?」 ポポイ「ん?ねーちゃん、寝不足か?」 プリム「え、そんなこと無いわよ?ふわぁ…」 和樹(姫花ちゃん…俺、強くなるからね…!)                      (続く)