「聖剣伝説2 another」 第9話 〜許せない行為〜 <マタンゴ王国・城下町> パリーン ガシャーン! 住人A「や、やめてくれえ…!!」 ドカッ ズバァッ! 住人B「うああああっ!?」 程塚(ほどづか)「何とかチームの奴ら…!」 遊太「でもローブの色、前と違くね?」 確かに 王国の街並みを破壊し、住民に襲いかかっているのは 灰色ではなく、ダークブルーのローブを纏った男達だった。 紺色の男A「聖剣の勇者と 奇妙な服装のガキどもがいるはずだ!」 紺色の男B「さっさと出せ。隠すとためにならんぞ!」 ランディ「何でもいい、やめさせないと…!」 プリム「あんた達はここにいて!動いちゃダメよ!」 和樹「ら、ランディさん…!」 タタタタッ ランディ「僕ならここだ!マタンゴに危害を加えるのはやめろ!!」 ???「出てきやがったな…」 紺色の男達の後ろから、またも特徴的なローブを着た男が歩み出る。 目の下に裂けた口が描かれ、さらには血の色を表すかのように 口の中が真っ赤に塗られていた。 ポポイ「…こいつらのボスって 服のセンスわりーのしかいねーの?」 プリム「何のつもり?答えによっちゃ 容赦しないわよ!」 裂けた口の男「ハッ、出てきてもらって何だが      正直てめえらには興味ねえのよ。      グルーロードが 得体のしれねえチビに      不覚をとったって聞いてな。      ツラ拝ませてもらおうと思って 探してたんだよ」 和樹「…!?そ、それってまさか…」 ちなみ「カ、カズくん危ないよ!」 思わず物陰から身を乗り出した和樹を 男は目ざとく見つけ、目の色を変える。 裂けた口の男「ギャハハハハ!        み・つ・け・た・ぜえええええ!!」 グオオオオッ 和樹「うわわっ!?」 姫花「きゃああっ!?」 ドゴォォォン! 目にも止まらぬ速さで接近してきた男が 振り下ろしたハルバードを 和樹達は間一髪で避ける。 遊太「あ、あぶねえなぁ!!?」 プリム「う、動いちゃダメって言ったのに…!」 裂けた口の男「眼鏡をかけた 一番背の低いガキ…        てめえだな?グルーロードをやったのは」 和樹「あ…う…」 ガクガク 程塚「腰ぬかしてる場合かよ!立てカズ!」 和樹「ご、ごめん…!」 裂けた口の男「おっと 自己紹介忘れてたぜ。       グレートデスデッドチーム:死族の長。       ウォーズラーだ。ま、覚えなくていいぜ。       どうせ今から死ぬんだからよ」 遊太「ウォ、ウォーズマンなら知ってるけどよ…」 ポポイ「ダークフォース!」 ゴォォォッ ガギン! ウォーズラー「…っと」 ポポイが放った暗黒のエネルギー弾を、 ウォーズラーは何なく武器ではじく。 だが間髪入れず、素早く駆け寄ったランディが斬りかかる! ダダダッ ギィィン! ランディ「みんな逃げろ!ここは僕らが食い止める!」 ウォーズラー「聖剣の勇者さんよぉ…てめえの話も聞いてるぜ?       グルーロードごときに 手も足も出なかったって話をよ」 ランディ「くっ…!」 ガキッ ガキィン! ウォーズラー「いいこと教えてやろうか?グルーロードの実力はな、       グレートデスデッドチームの族長の中じゃ一番下だ」 ランディ「なにっ!?」 姫花「あ、あれで…一番下…?」 ウォーズラー「ついでに言うと、俺はな…」 グルグルグル ブオオオオッ!! ウォーズラー「下から二番目だ!!」 ランディ「ぐううううっ!?」 ウォーズラーの繰り出した強烈ななぎ払いを ランディは何とか受け止めたものの、その身体は彼方へと吹き飛ばされる。 和樹「ら…ランディさーん!!」 ウォーズラー「…て、ことだ。役者不足なんだよ。       だからお前が相手してくれよ、メガネチビ。       グルーロードに一泡吹かせた技ってやつでよ」 和樹「うっ…」 ガクガクガク 姫花「…び、ビビってんじゃないわよ!やっちゃいなさいよ和樹!」 和樹「…姫花ちゃん…」 姫花「あんたの大好きなランディを バカにされたのよ!?    あの時みたいに 一発かましてやんなさい!」 和樹「……わ、わかった…!」 ググッ ウォーズラー「…ほう?」 和樹「波・動・弾!」 ………シ―――ン 和樹「……あ、あれ?」 ウォーズラー「…何だそりゃ?」 和樹「……!!は、波動弾!波動弾!波動弾波動弾!!」 シ――――ン 姫花「うそっ…何で!?」 和樹「は……はどーーーけん!!」 遊太「そりゃ別のゲームっすよ!?」 ウォーズラー「てめえら…俺をバカにしてんのか!?あぁん!?」 グオオオッ ドカァン! 怒り心頭のウォーズラーが、痺れを切らして和樹に襲いかかる。 和樹「……!ちょ、ちょっとタイム!タンマ!    何か調子悪いみたい!」 ウォーズラー「ふざけてんじゃねえ!       出すもん出せねえなら死にやがれ!!」 ドカンッ ズガァン! プリム「あんた達逃げなさい!敵う相手じゃないわ!」 シュルルルッ ポポイ「エアブラスト!スピードダウン!」 プリムのブーメランも、ポポイの魔法も 凄まじい速さで動くウォーズラーにはかすりもしない。 程塚「逃げろっつっても、速すぎだろあの口裂け男…!」 ちなみ「ど、どうしよう、どうすればいいの…?     ……あ、あれっ…トリュフォーさん!?」 ちなみの視線が、 傷ついた住人達を避難させているトリュフォーをとらえる。 ウォーズラー「……」 ウォーズラーもトリュフォーの姿に気付いたようで、 瞬時に攻撃の矛先を変える。 ゴオオオッ ガシッ 和樹「…え、えっ?」 程塚「な、何してんだあいつ!?」 ちなみ「や……やだっ、やめて!!」 トリュフォー「何だお前…オレは今忙しいんだ、離せよ…」 ウォーズラー「メガネチビ。そんじゃあ、こうしたらどうだ?」 グサッ!! 全員「!!!」 ウォーズラーはハルバードの切っ先で、トリュフォーを刺し貫いた! トリュフォー「が……がふっ…」 ウォーズラー「おらおらぁ!!とっとと俺を倒さねえと、        このクソキノコが死んじまうぜぇ!?」 遊太「な、なんてことしやがんだあいつ…!」 ポポイ「おいやめろ!おっちゃんは関係ねーだろ!!」 姫花「ちーちゃん!?」 それまで片隅で見守っていたちなみが、 トリュフォーを刺した武器を掲げたままの ウォーズラーの前に進み出る。 プリム「!!ちなみちゃんダメよ!」 程塚「あ、危ねえって!」 ちなみ「……離して」 ウォーズラー「あん?」 ちなみ「…トリュフォーさんを離して」 ウォーズラー「なんだ女。てめえには用ねえよ、引っ込んでな。        それとも このキノコと同じ目に遭いてえのか?」 ちなみ「……どうして?」 ウォーズラー「…は?」 ちなみ「どうしてそんな 酷いこと出来るの?」 ウォーズラー「…知ったこっちゃねえな。       俺は俺のやりたいようにやるんだよ!!       それが俺のモットーだからなァ!?ギャハハハハハ!!」 ギリギリッ ウォーズラー「…?バカか、その距離から弓矢なんか撃って        当たると思うのか?        さっきまでの戦い、見てなかったのか?」 ちなみ「……」 ウォーズラー「てめえの矢なんざ 目つぶってても片手で叩き落とせるぜ。       んな事してるヒマがあったら、あのメガネチビを…」 ちなみ「……さない」 ウォーズラー「あ?」 ちなみ「………絶対、許さない!!!」 キィィィィン ちなみの引き絞った矢が まばゆい金色の輝きを纏う! ウォーズラー「何ィ!?」 和樹「ちなみちゃん!?」 ちなみ「サジタリウス・シュート!!」 ビュオオオッ ドシュウウウウッ!! ちなみが手を放すとほぼ同時に、 まばゆい閃光のような矢が ウォーズラーの肩を射抜いた! 程塚(…速い!!) ウォーズラー「うっ……ぐおおおおっ!!?」 ガシャン! ガラガラガラッ ドサァッ ウォーズラーは肩から大量の血を流しながら、思わず武器を取り落とす。 さらに落ちた時のはずみで ハルバードはトリュフォーの身体から抜け落ちた。 ウォーズラー「へ…へへへ……やるじゃねえか………       グルーロードの野郎…適当な情報流しやがって…       いるじゃねえか…メガネチビ以外にもよォ…!」 グラァッ 紺色の男A「ウォ、ウォーズラー様!!」 ウォーズラー「ひ、退くぞ…てめえら…肩かせや…」 紺色の男A「は、はっ!」 遊太「あいつら、逃げる気だぜ!」 ランディ「今はほっとこう、遊太君…」 遊太「ランディ…!大丈夫かよ!?」 遊太の隣に戻ってきたランディは、ボロボロの姿だった。 ランディ「こっちも今はもう戦えない…      それに、トリュフォーや国の人達の手当もある…」 程塚「だな…しかしあいつらマジで何なんだよ…    それに、ちなみちゃんのあの技…」                      (続く)